書評

【書評・ブックレビュー】ミステリー小説「変な絵」がめちゃくちゃ面白かった話

先日読んだミステリー小説がとても面白かったので、話がしたい。

興味のある人は良かったら付き合って欲しい。

「なんかおもしれー本ねえかな」

「本気のガチでゾクっとしたい」

長くて難解で読みづらい本は嫌いだ」

こんな風に考えている人に向けて、今回は話をしよう。

おれは普段小説をめちゃくちゃ読む方ではないが、小説が大好きだ。

でも、ここ数年はビジネス本とか自己啓発書とか実用本みたいなつまんねえ本ばかり読むことが多くなった。

でも、先日空いた時間ができたとき、なんとなく娯楽寄りの読書でその時間を過ごしたいと思ったのだ。

そんで、なんとなーく新大阪駅の本屋で平積みされていたこの本を買って、読んでみた。

・・・めっちゃくちゃ面白かったので、今この文章を書いている。

この本の面白さが少しでも伝わると嬉しい。

どんな本?

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あらすじとか内容に関しては、特に深く語るつもりは無い。

面倒臭いし、おれの話したいこととは直接関係がないからな。

とは言え、どんな本なのかすら分からずに話を進めるのはあまりに独りよがりなので、眠くならない程度に本書の概要に触れておく。

一言で言えば「超良質な、読みやすい、ミステリー小説」だ。

タイトルの通り、本書には「絵」をテーマに物語が進む。

作中のキャラクターたちと一緒に読者は、どこか妙な絵を推理し考察し、謎を解き明かしていく。

と、まあ、それっぽいことをちょろっと話したが、こんな薄い導入では誰も「読んでみようかな?」なんて毛程も思わないだろう。

なので、早速おれが面白いと感じたことを話させて欲しい。

ここに魅力を感じた

「ゾクっ」とくるその感覚が、本物な点

よく「ゾクっとする」「ゾッとする」「寒気が走る」なんてチープな表現がある。

その手の安い表現はあまり好きじゃなくて、「オーバーに言ってんなぁ」なんて冷めたことを思うことが多い。

小説や漫画とかエンターテイメントの範囲だと、特に感じることが多い。

しかし。

本書は、「本物」だと強く感じた。

結局おれもチープな表現でしか伝えられないのが悔しいが、本当に「ゾクっ」とするのだ。

本書を読み進めていると、「あれ・・・?」という小さな小さな疑問から、徐々に徐々にその疑問の解像度が上がっていく。

そして、ある一点を超えた瞬間、マジのガチの「ゾクっ」が背中を走るのだ。

そんな感覚が味わえる展開が、本書にはいくつも用意されているのだ。

雑な勢いやグロい表現でむりくり読者の寒気を強制する2流とは明らかに一線を画す、本物の感覚。

この点が、本当に本当に凄いと思う。

伏線が良質で、おもしれえ

この本、というかこの作者は「伏線」の使い方が非常に上手い。

昨今の創作物は、「驚きの伏線回収!」「ラストのどんでん返し!」とか、伏線を売りにしている広報をよく見かける。

でも、伏線伏線言ってる創作物の大半は、伏線を回収することだけに執着している薄っぺらいものや、伏線に固執し過ぎて内容をただただ難解にしているだけの頭のわりいものが、多く見られる(※あくまで私見だ)。

しかし。

この作者が扱う伏線は、質が良いと言わざるを得ない。

何故なら、この作者は読者が伏線に対してどう感じるのかを圧倒的なまでに考慮しているからだ。

これは伏線に限った話じゃない。

前述したゾクっとさせる感覚や伏線、展開や構成など、あらゆる面で読者の心理を意識していることが分かる。

想像に過ぎないけど、この本はページの量や話の数以上に、膨大な手間がかけられているはずだ。

とにかく読みやすい

読者の心理をよく考えているということを話したが、それが顕著に現れているポイントが「読みやすさ」だろう。

とにかくこの本は読みやすいのだ。

本書はそこまでページが多くないことも手伝って、スルスルと読み進めてしまう。

恐らく数日で読み終わるだろう、人によっては手にしたその日に読み終わる。

面白くてページをくる手が止まらない、なんて表現があるが、それとはちょっと違うんだ。

もちろん、この本は面白くて先の展開が気になってつい読み続けてしまう、ということはあると思う。

だが、それ以上に読者に対して、シンプルに「読みやすさ」と「分かりやすさ」を与えてくれるのだ。

おれは小説評論家でもなんでもないので、どういう理論で読みやすいのかは分からん。

でも実際、他の小難しいミステリー小説とは明らかに読みやすさが違う。

本書は「絵」をテーマにしているだけあって、随所に絵の画像が差し込まれている。

これが読者の目の文字疲れを休め、より一層没入感を演出しているのかもしれない。

セリフのテンポやバランス、飽きさせない物語の展開など、想像もつかないほど工夫と趣向が詰め込まれているんだろうな。

作者が本物の天才

おれは「天才」という表現はあまり好きじゃない。

センスとか才能とか、いろんな受け取り方ができてしまう表現で、めんどくせえことが多いからだ。

しかし。しかしだ。

本当に圧倒的なセンスを感じ、「人生何回やり直しても、この人の真似できねえ・・・!」と感じる人に対しては、やっぱり天才と称してしまう。

ボキャブラリーが貧弱な平凡な表現を許して欲しい。

本書の作者「雨穴(うけつ)」さんは、本物の天才だ。

本当に本当に、そう思う。

平々凡々であるおれは、この作者みたいな本物の天才に強く憧れる。

こういう天才って、普通にかっこいいんだよなぁ。

小説家とか漫画家とか、「天才」と称される人は非常に多い。

例えば、太宰治とか手塚治虫とかレジェンドみたいな人とか天才だけど、おれは別に好きじゃない。

なんつーか、こう、うまく言語化できないけど、「若くてギラついた本物の天才」が好きなんだと思う。

有名どころだと、いつだったか話したチェンソーマンの作者の藤本タツキとか、ブルーピリオドの山口つばさとか、「新進気鋭」が好きでしょうがない。

↑言うほど新しくはないが、進気鋭であることは間違いない。

webライターのArufaとかもそうだ。

自分にない「本物」を持ってる天才、それも比較的自分と年が近い人たち、そんな人たちがマジで眩しく感じるのだ。

本書の作者「雨穴」も、そのひとりだ。

動画も面白い

本書の作者は、作家以外にもいくつもの顔を持っている。

Webライターだったり、Youtuberだったり。

ドラマの脚本家だったりもする、マルチな人だよなあ。

おれが最初にこの作者を知ったのは、本じゃなくて「オモコロ」というWebメディアだった。

ホラー関係だけでなく、さまざまな面白い記事を掲載している。

Youtubeもおすすめだ。

本書の第1章を、作者自らが出演し、分かりやすく物語を動画にしてくれている。

本と同様に、これがまたゾクっとして面白いのだ。

是非視聴してみて欲しい。

まとめ

いろいろ好き勝手喋ってしまった。

この作者の勢いは、飛ぶ鳥を落とす勢いという表現がぴったりだ。

なんとこの作者が出版した「変な家」の映画化まで決定している。

おれはミーハーなにわかファンなので、まだこの「変な家」は読んでいない。

本書である「変な絵」は、「変な家」に続いて出版された第2弾だ。

(※各書の内容に繋がりはないので、どちらから読んでも問題はない)

この興奮が冷めないうちに、本屋へ行って「変な家」買ってこよう。

めっちゃ楽しみだ。

今回のおれの話を聞いて、少しでも興味を持ってくれた人は、是非とも本書を手に取って読んでみて欲しい。

おもしれえもんはおもしれえ!これに尽きる。

普段本を読まないような人にこそ、強くオススメできる一冊だ。

本書があなたの人生を僅かでも楽しくしてくれることを確信している。

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