【猫】猫を飼おう！(前編）〜猫を飼いたい人へ、飼うまでのささやかな障害の乗り越え方を解説！〜

おい、そこの人間。

ノラ助ではない、名前はスペッキオ。

気さくにスペさんと呼ぶがいい。

お前、スペの飼い主になること許可してやってもいいぞ。

今、動物を飼っているか？

なんだ？

お前は猫は嫌いか？

・・・なら他を当たるとしよう。

うん？なら何故躊躇する必要がある？

猫の愛くるしい姿が大好きで、猫の下僕になりたいと今言ったじゃないか。

ほう・・・。

スペが聞いてやる、言ってみろ。

ふむ、なるほどな。

では訊くが、お前の言う「生き物を飼う資格」とは何なんだ？

お前はスペに暴力を振るうのか？

お前はスペがぐったりしていたら、無視するのか？

うん？おかしいな。

それなら、お前はお前の言う「資格」とやらをちゃんと持っているじゃないか。

そう、お前が言った通り、人間の気持ちは移ろい易い。

今日考えていることは明日には変わる。

つまり、変わる可能性のことを危惧しての動かないという選択は、意味がないと言うことだ。

人間にも様々な考え方があることはスペも理解している。

「もし事情が変わって飼えなくなったら猫はどうなる？」

「もし飼い主が病気、もしくは他界したら残された猫は？」

至極真っ当な心配事だろう。

近年における猫の年間の大まかな殺処分数だ。

これでも相当改善されてきている、昔はこの10倍以上の数が年間で処分されていたんだ。

動物保護活動をしている人間の尽力によって年々減少はしているがな。

こういったネガティブなデータを出すと、お前たち人間は不思議と目を逸らすな。

まるでこう言った問題を全て解決できないと、猫を飼う資格がない、なんて思い込む奴もいるだろう。

だが、誤解を恐れず、あえて言おう。

スペに言わせてみれば、「資格」なんて猫との生活に少しでも関心があるかだけだ。

そこから小さな勇気を出して小さな一歩を踏み出してみろ。

猫を飼う事で尊い命が救われる、などと耳障りの良い事は言わん。

だが、動物と一緒に居たいと言うお前自身の気持ちをもう少し大切にしてあげてもいいんじゃないか？

お前は先ほど何気なく「いつか猫を飼いたい」と言っていたが、そういう気持ちは掛け値なしに素晴らしいとスペは思う。

だから世間の目や風潮、起きてもいない悪い未来に囚われず、自身の気持ちを大事にしてやれ。

お前たち人間は、起きてもいない問題を勝手に大きくして不安がり、動かない事が多過ぎる。

スペたち猫はそんなことは気にしない、自分の気持ちの優先順位は整理できている。

猫から学べ、スペを飼うんだ。

いいぞ、ほったらかしで。

勿論個体差はあるが、猫とは単独で生きる生き物だ。

犬のように群れを作る習性はない。これは本能的な話だ。

故に猫は「寂しい」と言う感情が比較的薄いと言うわけだ。

むしろ、構われすぎて体調を崩す猫の方が多いくらいと言っても過言ではない。

お前の危惧も分かるぞ。例えば大型犬を一人暮らしで飼う、となったら難易度はグッと高くなり、現実的ではなくなる。

長時間の散歩、しつけ、広い家、世話の絶対時間が違う。

だが、猫はどうだ？

しっかりとした環境さえ整えてしまえばあとは勝手に一人でストレスフリーに暮らしてくれる、猫とはそういう生き物だからな。

長時間の散歩も高度なしつけも必要ない。

個体差や年齢によるが、猫は１〜２日程度の留守番なら難なくこなす、出張にも気にせず行け。

猫の世話は、一人暮らしでも余裕を持って行える。

この「余裕を持って」と言うポイントが非常に重要だ。

無理をすれば大抵の生き物は飼えるが、余裕のない生活に未来は無い。

分かったら、スペを飼え。

問題ない。

広いことに越したことはないが、工夫次第で快適な環境になる。

引き合いに出してばかりで犬には申し訳ないが、犬だと少々手狭に感じるかもな。

だが、猫は違う。

何故なら猫は「広さ」より「高さ」を重視する生き物だからだ。

お前の家は、常にしゃがんでいないと頭をぶつけるような高さなのか？

よし、ならば問題はない。

部屋の環境を整える方法は追々教えてやる。

猫は２次元ではなく３次元で生活する生き物と知れ。

さあ、スペを飼え。

ふむ、当然の不安だな。綺麗事だけでは飯は食えん。

様々なケースがある為一概には言えないが、１匹の猫の飼育費は一生涯で２００万円程度だと言われている。

まあ、落ち着け。

確かに決して安い額ではないな。

だが、月々１万円以下程度だと考えれば、経済的にも負担はあまり感じないんじゃないか？

猫の平均寿命は１５歳前後と言われているからな、平均すればそんなもんだろう。

基本的なランニングコストは餌代とトイレ砂の２つだな。

そこにワクチン接種や医療費、猫用品購入などの初期費用などが乗っかってくると、まあ月々１万円弱程見ておけばいいだろう。

この辺りのことはまた機会があれば詳しく教えてやる。

さあ、いいからスペを飼え。

お前は何も分かってねーな。

考え方次第では逆の意味になる。

そもそもお前は何故猫を飼うことで結婚できなくなると考えるんだ？

それはな、結婚の可否ではなく、お前が自分の気持ちとは関係のない「周りの目」を気にしているからだ。

独身で猫を飼うことで世間から「アイツ独りで寂しいヤツだな・・・」とか「誰も相手してくれないから動物飼ってる惨めなヤツ、ププ」といった思われてもいない評価を勝手に感じ、被害妄想に陥ってしまっているだけだ。

ちなみにもし本当にそのような事を思う輩がいるのだとすれば、そういった考えの持ち主こそ惨めだとスペは思うがな。

それに結婚できない理由を動物に押し付けている女性がいたとして、お前はそんな女性と結婚したいか？

そうだろう。

むしろ家に猫がいるからこそ、異性が猫に興味を持って家に遊びに来てくれるかもしれないぞ。

猫をダシにして即物的で下世話かと思うかも知れないが、これくらいの狡猾さがあってもいいんじゃないか？

少なくともスペたち猫はそんな小さなことは気にしない。

猫を結婚できない理由にするくらいなら、猫を結婚できる理由にしろ。

若い世代に限らず、年配の人も同じことだ。

思われてもいない世間の目を気にせず、自身の気持ちを尊重してやるんだ。

学生も社会人も主婦も定年後も皆一緒だ、お前もな。

もういいだろ、スペを飼え。

うむ、そうだろうそうだろう。

しょうがねーな。

今回は猫を飼う事への障害、つまりデメリットに近い要因にフォーカスして話した。

では、次回は猫を飼うことの素晴らしさ、メリットについて話してやろう。

この話を聞けば、お前はもう猫を飼うしかなくなるだろう。